丸わかり!物語の背景
作品が書かれた背景を知れば、読む楽しさも倍増です♪
作者は誰?どんな人?
「紫式部」と呼ばれた女性です。
中流貴族の家に生まれました。
漢文や和歌の知識豊富な才女で、
有名な歌集に歌が採られています。
「めぐりあひて 見しやそれともわかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな」
訳:久しぶりに会ったのに、あなた、すぐ帰ってしまったわね。雲に隠れる月みたい。
(いわゆる「百人一首」に収録されている紫式部の和歌)
いつ書かれたの?
平安時代の中ごろ。西暦1008年前後と思われます。
時代は貴族文化の最盛期。
藤原氏の一部が権力を独占してました。
中でもいちばん成功した人が「藤原道長」です。
まさに最大の権力者で、
「この世をば我が世とぞ思う・・・(この世はおれのものだ!)」
という和歌を詠んだほど。
この藤原道長が文化力をアピールするため、
紫式部を雇って書かせたのが『源氏物語』です。
☆道長と紫式部はただの雇い主・使用人の関係じゃなく、
男女の仲だった!とか♪
十二単(じゅうにひとえ)の時代♪
『源氏物語』が書かれたのは、貴族文化が絢爛と花ひらいた時代です。
今日、お雛さまが着ている服、いわゆる十二単(じゅうにひとえ)をまとった貴族女性たちが、
和歌を詠んだり琴を弾いたりしていた頃、と言えばイメージしやすいでしょうか。
昔の日本、というと刀を帯びたサムライや、着物を着てマゲを結った女性、
簡素さを愛する「わび・さび」文化を思い出す人が多いでしょうが、
平安時代は、それより更にひと昔前です。
武力でことを解決しようとする武士はさげすまれ、
みやびを愛する貴族たちが政治をしていました。
金や銀、カラフルな絹など華やかな物がもてはやされ、
四季に合わせたお香や衣装をまとい、
音楽や書道の腕を磨くという、高度に洗練された文化の時代だったのです。
『源氏物語』始め、清少納言の『枕草子』など、
すぐれた文学が生まれたのも当然と言えましょうか。