教えて!源氏物語Q&A

「更衣って、人の名前?」。

「この人、おとこ?」

 

本書を出して気づきました。

皆さん、実はいろいろ疑問なんですね!

でも「こんなこと聞いたらバカにされる?!」と、

モヤモヤのまま放置してる…。

 

わかりました。それならまとめてUPしましょう!

質問、どんどんお寄せください。

聞かれた順に答えていきます♪

 

「鬚黒大君」が女性の名前?!ひどくない?!

 

Q. 系図みてたら、「鬚黒大君」って名前がありました。これが姫君の名前って、ひどくないですか?

 

A. ああ、44巻め「竹河」にちょこっと出てくるサブ・キャラ

  「鬚黒大君(ひげくろのおおいぎみ)」のことですね。

  実は、「鬚黒大君」って、この女性の名前ではないんです。

 

  「鬚黒(ひげくろ)」は彼女のお父さんのアダ名。

  「大君(おおいぎみ)」は、「長女」って意味です。

 

  つまり、「例のヒゲの人んちの、上のお嬢さん」てくらいの意味の呼び名ですね。

  本名は不明なので、こんな仮の呼び名が付いてるんです。

 

光源氏って、最後どうなったの?

 

Q. 主人公の光源氏って、最後どうなったんですか?

 

A. 死にました。(カンタンすぎる回答…笑)

 

  もうちょっと詳しく書きましょうか。

  光源氏は一度失脚の憂き目を見ますが、復職したのち、出世街道を驀進します。

  最後には、ありえないくらい高い身分まで昇りつめました。

  しかし、その代わりにプライベートで不幸が続きます。

 

  トドメのごとく、最愛の妻・紫に死なれた光源氏は、

  「幸も不幸も人並み以上の人生だった」と呟き、全てを捨てて坊さんになります。

  そして嵯峨で清らかに修行生活を送り、数年後に世を去りました。  

 

  ただし、その死にざまは書かれていません。

  文脈や、他のキャラの思い出話から察するに、

  「40巻め『幻』巻の後、42巻めの『匂宮』巻前に亡くなった

  らしいんですけどね。

 

なんか、人の名前がヘンじゃないですか?

 

Q. 『源氏物語』、キャラの名前がヘンだと思うんですけど。

 

A. ずばり、どれも「名前」ではありません!

  『源氏物語』、たいていのキャラは名無しなんですよ。

  なので「夕顔の巻に出てくるから夕顔ちゃん」、「ヒゲ面で色黒だから鬚黒さん」など、

  わかりやすいアダ名が付いてる訳です。

 

光源氏の両親の名前は?

 

Q. 光源氏、お父さんの名前が「桐壺帝」で、お母さんの名前が「桐壺更衣」ですね。

  両親が同じ名前なんですか?

 

A. 光源氏の父は「桐壺帝(きりつぼてい)」、母は「桐壺更衣(きりつぼのこうい)」とアダ名されてます。

  そう、この二人も「本名不明、だからアダ名」なんです。

  1巻め「桐壺」で活躍する天皇(帝)と更衣(女官)だから、こう呼ばれてるんですね。

『源氏物語』英訳の入手方法

 

Q. 『源氏物語』、英語に翻訳されているんですね。どうやったら入手できますか?

 

A. 『源氏物語』の英訳は部分訳、抄訳など何バージョンも出ています。

  全訳は、3人の訳者さんが試みています。

 

  1.アーサー・ウェイリー(Arthur Waley)訳の「The Tale of Genji」

       ISBN: 9784805310816

    『源氏物語』の古典的名訳と言われています。

    正確さより読みやすさに重点が置かれているため、

    英国貴族の恋物語ふうに仕上がってはいますが、

    訳者のセンス、(当時としては)驚異的な語学力が

    一冊に詰まった訳本です。

 

    また、このウェイリー訳を日本語へ重訳した『源氏物語』も出版されています。

    キャッチコピーいわく、「うるさい敬語がなくて読みやすい」とのことです。

 

    2.エドワード・サイデンステッカー(Edward Seidensticker)訳の「The Tale of Genji」

       ISBN: 9780394735306

    ウェイリー訳が省略してしまった箇所をも訳出した、ある意味はじめての完訳です。

    注釈が多く、文も明快で、読みやすく便利な訳です。

 

  3.ロイヤル・タイラー(Royall Tyler)訳の「The Tale of Genji」

       ISBN: 9780142437148

    ウェイリー、サイデンステッカーの功績を踏まえ、

    さらに進化させた訳本と言えます。

    図や絵を交えた解説が緻密で、日本人にも参考になります。

 

ISBNというのは、本のパスポート・ナンバーみたいなもの。

本屋さんに行ってこの番号を言えば、あるいはネット本屋でこの番号を入力すれば、

割と容易に入手できるかと思います。

 

「平家物語」に出てくる源氏と「源氏物語」の関係は?

 

Q.大河ドラマ「平清盛」を見てたら、「源氏」って人たちが出てきてました。

  この人たちって光源氏と関係あるんですか?

 

A.直接的な関係は、残念ながらありません。

  そもそも「源氏物語」は完全なフィクションですので、

  史実を基にしている大河とは別モノなんです。

 

  ではなぜ、フィクションでも史実でも「源氏」って人がいるのかと言うと。

  平安時代、皇族の数が増えすぎちゃったんですね。

  で何人かを臣下の地位に下ろすことにしました。

  姓がない皇族が臣下になるので、

  「じゃ『源(みなもと)』って名乗りなさい」という次第になり、

  「源(みなもと)という氏の人たち」つまり「源氏(げんじ)」が生じたのです。

  つまり、平安時代には、「源」姓の人がたくさんいた訳ですね。

 

  紫式部が主人公を「源氏」にしたのは、皇族出身という高貴さに憧れたからです。

  それで源さんたちが大活躍する「源氏物語」を書きました。

  あくまでもフィクション、紫式部の願望です。

 

  では、史実の源氏たちはどうかというと。

  当初こそ出世した人もいましたが、数世代後には没落してしまいました。

  彼らの中から地方へ下って武士になる者が現れ、

  「平清盛」の時代に武器を振るった訳ですね。